2012年2月25日土曜日

私が「味のある絵」を描くために心がけている3つのコト

さて、こんなブログを書いていながらなんですが、私は美大や専門学校で学んだ経験があるわけではありません。ましてや絵がめちゃくちゃ上手いわけでもありません。

だけど、そんな私の絵でも「味がある」といって気に入ってくれる方もいます。

そこで今回は、超練習してめちゃくちゃ上手くなりたいわけじゃないけど、ちょっとだけ練習して「いい感じ」の絵が描けたらいいなあ、という人に向け私が普段絵を描くときに心がけている3つのポイントを紹介します。誰にでもフィットする方法ではないかもしれませんが、少しでも参考になればさいわいです。


0.そもそも「味のある絵」とはなにか?

3つのポイントに入る前に、そもそも「味のある」絵とは何か、整理してみたいと思います。

少し前置きが長くなりますが、まずはこちらをみて下さい。

左:上手い  真ん中:味がある  右:下手

左側がいわゆる「上手い絵」、右側が「下手な絵」、そして真ん中が「味のある絵」です。

一般的に言われる上手い絵は、目で見た感じに忠実な、いわば「正確」な絵です。
美術の授業のデッサンで求められるような写真みたいな絵のことですね。

下手な絵というのは、みる人がなんとなく「間違っている」と感じてしまう絵です。

この絵でいうと、箱の下部分が一直線になっていますね。近くにあるティッシュボックスでもなんでも、ちょっと見てみてください。こんな箱は「ありえない」のが分かると思います。対象をよく観察せず「思い込み」で描くとこういうことになりがちです。

このような箱の絵をみるとき、私たちは過去に見た数々の箱から抽出した「箱らしさ」のイメージと無意識に照らし合わせます。目の前にある絵が自分の中の「箱らしさ」とあまりにも食い違うと、この絵は間違っている=下手だ、と感じてしまうのです。

逆に言えば、この「らしさ」をおさえれば多少いびつでも絵として成立するのです。


まとめると、私は「味がある絵」とはそのモノ「らしさ」がありつつ、適度にゆがみやノイズが入ったいわゆる「ヘタウマい」絵のことを言うんじゃないかと思うのです。

写真よりも情報量が整理されている分、モノの「らしさ」が強調されますし、いびつさの中には描いた人の「らしさ」がどうしようもなく滲み出るので、場合によっては上手いだけの絵よりも人をひきつける魅力があるのが「味のある絵」だと私は思います。

正確な絵を描くためには、何年もデッサンを続けるなど大変な努力が必要です。このような訓練は、絵で生計を立てていこうという人でもなければ必要のないものですし、何より普通の人にとってはそこまで楽しいものではありません。

味のある絵は、いくつかのポイントに気をつければ正確な絵よりは簡単に描けるようになります。何よりも描いてて楽しいのです。というわけで、前置きが長くなりましたが上記をふまえた上でそのポイントを解説していきましょう。


1.ウォーミングアップをしよう!

絵を描くのも身体を動かすという意味では「運動」の一種です。

一流のスポーツ選手でも、準備運動をしないと思い通りに身体を動かすことはできません。今はパソコンや携帯を使うことが多くて、そもそも手で何かをかくという機会は少なくなっています。そんな状態からいきなり描き始めたのでは、手が思うように動かなくて当然です。

普段描いてない人ほどウォーミングアップしよう。


こんな感じでタテ、ヨコ、ナナメに曲線と色んな方向に手を動かしましょう。
真っすぐな線はより真っすぐ、丸はより丸く、均一になるように意識するといいです。
ちょっと大きめに、紙いっぱいに描いて手を慣らします。


2.必ず実物を用意してよく観察しよう!

人間の記憶はとても曖昧なものです。

描きたいモノがよくわかってない状態で描き始めると、記憶が曖昧な部分を適当にごまかしたり、いわゆる「マンガ的」な表現に頼って結果的に間違った=下手な絵になってしまいます。こういう時は自分の描いているモノに自信が持てなくて、なんだか線も弱々しくヘロヘロしてきて残念さにより拍車がかかります。見ていると分かりますが、絵が苦手だという人ほど実物を見ずにえいやっ!と描きはじめてしまうのです。

可能な限り、実物を用意しましょう。
実物がなければ写真でもいいです。私はGoogleのイメージ検索もよく使います。

最低でも1分。できれば5分ぐらいよく観察して下さい。
1分でも実際にはかってみるとだいぶ長く感じると思います。普段はこんなにモノを真剣に見ることってありませんからね。
実物があれば手に取って、色んな角度から見てみてください。


このときに、描こうとしているモノの「らしさ」がどこから来ているのか意識するようにしてみて下さい。例えばミカンを描こうと思ったら、「オレンジ色だと思ってたけど、場所によっては少し緑がかっているんだな」「まんまるじゃなくて、上下がつぶれてるんだな」「ヘタの部分は五角形なんだな」などなど、色んな気づきがあると思います。

慣れてくると頭の中に対象の立体コピーができて、想像で触ったりひっくり返したりできるようになってきます。ここまでできたらもう描けたも同然です。


3.下書きをせずにいきなりペンで描く!

基本的に、下書きはしない方がいいです。複雑なものを描くなど、どうしてもする場合でも大まかな形と位置をとる程度にとどめます。

なぜかというと、下書きをすると人はついつい下書きをなぞってしまうから。せっかくさっき観察で得た「気づき」や、描こうとしているモノの「らしさ」を忘れて、線をなぞるという「作業」に集中してしまうのです。

こうなってくると木を見て森を見ず状態になり、どんなに正確になぞったつもりでも全体としては「死んだ」絵になってしまいます。「清書したのになんだか下書きの時の方がよかったな」ということがよくある原因です。

個人的には、紙にいきなりペンで描くというやり直しのきかない状況の方が、線にほどよい緊張感が生まれ、描こうとしているモノの「らしさ」により強く集中できる気がします。


紙とペンを用意して、ひと呼吸おきます。さっき観察で目に焼き付けたものを、紙の上にコピーするような感じでイメージします。プロジェクターで投影してるみたいな感じ。コレを意識して、投影したイメージをなぞる感じで怖がらずに一気に描きましょう。

間違ってもいいし、歪んでもいいんです。だってそれが味だから!

正確さを求めているなら写真を撮ればいいんです。多少いびつでも「味だから」と言い切れるのが絵のいいところです。しっかり「観察」のプロセスをいれれば、下手な絵になることはまずありません。自分の「味」に自信を持って、気持ちよく描いて下さい。


おまけ

何よりも大事なのは、「描きたいモノ」「好きなモノ」を描くこと。
ペンが紙の上を滑る感触を楽しむこと。

絵は不思議なもので、描いた人の性格や心理状態がにじみでます。自分が描いていて楽しかった絵は、必ず人を楽しませることができるはずです。

さあ、これをみて少しでも描きたいと思ったら、レッツエンジョイドローイング!




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